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子どもシェルター「ここ」の運営について

 3月16日,西日本新聞朝刊の一面に,「虐待児シェルターが閉鎖の危機」との見出しで,子どもシェルター「ここ」の存続が厳しい状況にあるとの記事が掲載されました。

 現在「ここ」は,児童福祉法に基づいて設置される「自立援助ホーム」の制度の適用を受けながら運営していますが,制度上,年間の入居者数が一定数に達しない場合,行政から支給される措置費が大幅に(最大で約70%)減額されることになっています。
 「ここ」ではこれまで,虐待を受けて傷ついた子どもたち一人ひとりに寄り添って,丁寧な支援を続けてきました。その中で,対応の難しい子どもが入居している間に,他の子どもの新たな受入れが困難になるという事情や,そうした子どもの退居先がなかなか見つからず,短期間で次のステップに進むことができないため入居が当初の予定よりも長期化してしまうという事情もあり,今年度は国の定める入居者数の基準を満たせないこととなりました。
 このまま自立援助ホームの指定を受け続けるためには,国の基準に従ってスタッフを配置することが必要ですが,来年度,大幅に措置費が減額された中で職員の雇用を続けることは難しい状況です。
 入居者数が基準に達しなかったことについては,私たちとしても反省すべき点が多々あり,今後,早急に改善策を検討していく予定ですが,現状では自立援助ホームとして「ここ」の運営を継続することは困難です。したがって,「ここ」の運営形態を変更する必要があり,それまでの間,一時的に「ここ」の運営を中止することも考えざるを得ないところです。
 本来であれば,会員のみなさま,支援者のみなさまに向けて早期に現状をお伝えし,みなさまからご意見をいただきながら今後の対応を検討すべきところ,報道が先行し,このような形でみなさまにお知らせすることになってしまいましたことを心よりお詫び申し上げます。
 なお,今後の「ここ」の運営については,関係機関とも協議しながら,法人内で検討を続け,その結果をご報告するとともに,5月に開催する予定の定期総会においてご了承をいただく予定です。
 仮に「ここ」を一時的に閉鎖することになったとしても,そだちの樹の事業として,家庭で暮らすことができない年長の子どもに対する相談,援助等の活動は継続して参りますので,引き続きご支援のほど,何とぞよろしくお願い申し上げます。

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虐待児シェルターが閉鎖の危機 福岡,公費支給減額で

2014年03月16日(最終更新 2014年03月16日 03時00分)

 虐待を受けるなどした少女を救うため,福岡県に開設された九州唯一の子どもシェルター「ここ」が運営難に陥り,2014年度の一時閉鎖を検討していることが分かった。現行の制度では職員の態勢を充実できないため,受け入れ人数を増やせず,行政から受け取る運営費が大幅に減ってしまうのが原因。岡山,広島両県のシェルターでも14年度の運営費減額が見込まれており,関係者からは「家庭に居場所のない子どもの受け皿がなくなる」と危ぶむ声が上がっている。
 子どもシェルターは15~19歳が入居対象。18歳以上は児童相談所で保護できないため,未成年者の緊急避難所として,NPO法人などが9都道府県に設置している。入居期間は原則2~3カ月以内。「ここ」は12年に開設され,少女に衣食住を提供し,弁護士が親や行政との交渉を行い自立を支援する。
 厚生労働省は12年度から,子どもシェルターについて,15~19歳が働きながら生活する「自立援助ホーム」の一つとみなし,1年間の延べ入居者数が定員の倍に達していれば,翌年度は国や自治体から定員分の措置費(1人年約240万円)を受けられる制度を設けた。条件を満たさない場合は大幅に減額される。
 「ここ」は定員5人で,運営費は人件費などで年間約1500万円必要。12年度は条件を満たす10人が入居したため,定員分の措置費として約1200万円を受け,残りを寄付金などで賄った。だが,本年度は5人のため,新年度の措置費が大幅に減り,貯金を取り崩しても600万円ほど不足する見通しという。
 一方,「ここ」の職員は厚労省の配置基準で,常勤2人,非常勤1人(3交代制で常時1人)と定められている。虐待を受けた子どもは精神的に不安定で,破壊や自傷行為を起こすことがあるため,受け入れ人数を増やそうとしても,職員1人で世話することが難しいケースも多い。
 「ここ」では入居者同士の関係悪化を懸念して,児童相談所などの入居要請を断ったケースもあったという。運営するNPO法人そだちの樹(福岡市)の小坂昌司理事は「受け皿がなくなるのは残念だが、現行制度のままでは一時閉鎖せざるを得ない」と話している。

=2014/03/16付 西日本新聞朝刊=

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